猫目石様よりの頂き物 ∩(*^(∀)^*)∩

幻想館様4,000hitキリリク

 

*注意* 以下の文は特殊系妄想ですのでご注意下さいm(_ _)m
ロマファン、「秋彦>弘樹」反対派は観覧禁止させて頂きます。
一部裏系表現も含みます。 苦手な方はリターンボタンで引き返して下さい。


☆秋>弘に萌える
☆むしろ大歓迎
☆裏系も大丈夫
☆細かい事は気にしない

 

という心の広い方のみスクロールして下へどうぞさっきから、過去がまとわりついて離れない。人生どん底期の記憶。







秋彦がいなくなったベッドの中に手を入れてみる。
暖かい。
その暖かさが切なくて、苦しくて。
自分がみじめで。

涙が一粒ぽろりとこぼれた。
うずくまったまま、動けなくなった。

カッコ悪いぞ。
しっかりしろ。

人は誰もひとりだ。そうだ。
俺は、ひとりで生きる覚悟のないガキじゃない。

なのに、なんだよ。
このザマは。

寂しいだの、つらいの、じゃねぇ。
断じてそんな気持ちじゃない。
ただ・・・寒い。

震えているのは寒いから。

泣いたりするはずない。
こんな。こんな事で。


自分の情けなさにうんざりして、秋彦の気配の残る部屋の鍵を閉め、街に出る。


そんな日には、誰かが声を掛けてくる。
そして俺は、その誘いを拒まない。

情けない自分より、バカやってる自分の方が少しましだから。



俺は決して、軽くみられるタイプじゃない。
でもあの日々、気がつけばいつも、見知らぬ男が俺の横にいて、そっと肩に手をのせてきた。

腰を抱かれても、俺が抗わないのを知っていた。
猛禽の目をした、男達。

鱗がありそうな冷たい手で触れられ、肌の下の血が燃えてていく。
熱い血のざわめきは寒さを忘れさせてくれる。







何故、今更こんなこと思い出す?

痕跡も残らない、くだらない時間の記憶。


誰を裏切ったわけでもなく、誰を傷つけたわけでもなく・・・。

鈍い後悔はあっても本気で悔やんだ事などなかったのに。


詫びなくてはいけないような咎ではないはず・・・詫びる?誰に?



ああ、俺は、詫びてほしいのか?あのころの自分に?

バカやって、自分を痛めつけて、痛みで痛みを隠していた事を?

悲鳴をあげることさえ許さなかった事を?

 

 

 

 

 

俺はプライドが高い。

そんなこと認められるわけがない。

けれど、心はこんなに情けなく「想い」に翻弄される。


本当は、傷ついていた。

想っても、かなわない事に。

叶わないのに忘れられない事に。

忘れられないのに、他の男の腕の中にいる事に。


許してくれ。あの頃の愚かな弱い俺を。

今になってやっと認める事ができる。だから。




許せるか?



「好きなやつにしか触らせない」そう誓った自分に免じて。

唯一人の人を、こんなにもこんなにも、愛している自分に免じて。

この、命を賭けても惜しくない恋に免じて。







ささやいている。小さな声。俺の本当の心の声。

大丈夫、許してあげる。
それ以上自分を責めなくていいんだよ。


それは、あの黒い瞳に映った、小さな俺がささやく声。


ありがとう。
  

 

  

台風にさらわれて(秋彦編)

1

 

1.. 

あいつは誰にも本気で恋をしない
あの優しさや思いやりは友情止まり
それ以上になることは決して無い

初恋は実らないものだと
そう信じて

側に居られるだけで
それだけで十分だと


諦めていたはずだった。


今さらやり直す事は出来ないと分かっているけれど
あの肌に触れなければこんなに辛くはなかったはずで

手を出さなければよかったと.....

何度もそう後悔する。



あの時弘樹は、酒に酔っていたのかもしれない。


グラス二杯ですでに酔いが廻ってきているのか、
ソファーに深くもたれながらゆっくりした口調で震える声が呟いた。

その予期せぬ台詞に思わず自分の耳を疑う。


「俺も、片思いしてるから........お前の気持ち分かるよ」


弘樹は今にも泣き出しそうな顔で眉を寄せ
次に続く言葉を探す。
何か言いかけて躊躇する。

その外見に引かれて近寄ってくる男女は常に耐えず
昔から恋人には不自由しない奴だった。
なのに、恋や愛だとかには冷めた所があって
決して恋愛に本気にならない奴だと思っていた。


誰にも本気にならない弘樹 ......

が、恋をしている?


「べ、別に、慰めてやろう....とか、そういう事言ってるんじゃ、ねーぞ.....」

辛そうな目をしてそう告げると
再び口を閉ざし、目線を反らす。

普段と違う弘樹のその態度が
本気で誰かを好きになってしまったのだと物語る。

開いては閉じるその唇を
ただじっと見つめるしか出来なかった。


ショックで......どう対応すればいいのか、分からない。


「......でも、もし......気持ちが少しでも楽になるなら」

その次にくる台詞を
『冗談だろう』とかわす事ができないくらい
その時の俺はあまりに動揺して

「お前の好きな奴だと思って.......俺を抱けよ」

その甘い誘惑に
長年押し込めてきたこの手が
自らの意志に逆らって伸びていく


手を出すべきではなかった.......


間もなく他人のものになってしまうあいつに。


 

 

 


2.


「目隠しすればいいじゃん」

視界を奪われたせいで余計に
感覚や声が鮮明に残っている。

「大好きな『タカヒロ』想像させてやるよ」

あいつは誰を想像して
俺に抱かれたのだろうか.....





目を瞑れば
あの時の感覚が蘇る。



視界を塞がれた瞬間、
幼い頃一度だけ触れたその唇が重なり合ってきて .....
捕らえられた。

その柔らかい感触に引き込まれると
もう後に引き返せない。

手を伸ばし
頬を両手で包み込み
その存在を確認する。

吸い付く様な肌に指を滑らせて
柔らかな髪に絡ませる。
この感触が昔から好きだった。



絡み付く熱い体温
こぼれ落ちる吐息



「........あ.....あ....」

初めて耳にする高めの声が俺を煽る。

「あぁっ!.....んっ.....っ.....」

華奢な腰に手を添えて思いっきり下から突き上げると、
甘い声が止めどなく部屋中に響いた。
見えない分余計に肌や耳から伝わる感覚が一層高まるのかもしれない。
擦れ合う肌が熱を生み全身の温度を上げた。


深く繋がり合う度にきつく締め付けられて
気持ちが良くて、愛しくて、たまらなくなる。


ただひたすら全ての感覚を貪る様に弘樹を抱いた。


熱と悦楽が思考を麻痺させる。
夢を見ているのか、それともこれは現実なのか....


「.....ろ......ひろ......」


夢中になって思わず名前を呼んでしまい

我に返り
そして
思い出す


『大好きな『タカヒロ』想像させてやるよ』


.......身代わりに抱かれてくれているのだと





欲望を吐き出した後は空しさだけが残った。


目隠しを取るとまだ息の整わない弘樹の汗ばんだ肌が目に入る。
羽織っただけのシャツの下から濡れた太腿が覗く。

その姿を直視出来なくて
弘樹の顔が見れなくて.....
逃げる様に浴室へ駆け込んだ。


何度後悔しても、しきれない。


気まずい雰囲気のまま弘樹が去った部屋には
乱れたシーツだけがそこに残る。


もう元には戻れない.....


そんな気がした。

 

 

3.

 

あれから何度も弘樹に電話をかけたが繋がらない。
大学で顔を会わせる事も無く、さっぱり連絡が取れない状態が続く。

避けられている、のだろうか......

それとも
好きな人、とやらと
何かあったのか?

電話にも出ない、というのが気になった。

片思いや失恋で自殺するようなヤワな奴じゃないけれど
さすがに心配になってくる。

あいつは不器用だから....
初めての恋にとまどって、落ち込んで
余計な事ばかり考えて
きっと鬱々と悩んでいるはずだ。

10歳からの付き合いだ。
弘樹の性格は誰よりも良く知っている。


よほどの事が無い限り
あいつは絶対に「あんな事」仕掛けてこない。

あんな事............




もし弘樹が泣き崩れていたりしたら
弱ってるあいつの泣き顔を目の前にして
自分は理性を保つ事ができるだろうか?

顔を会わせると我慢出来なくなるかもしれない。

『おまじないのキス』程度で止められる自信が
ごまかせる自信が、今の俺には無い。

それでも

他人の物になってしまうくらいなら、
いっその事.............



決心をつけて、ベルを鳴らす。



「.........秋彦....」

あわてて飛び出して来た弘樹が、ビックリした顔で俺の名前を呼んだ。

「生きてたか」

やっと顔が見れた事に安堵する。
けれどその顔に覇気はなく
心持ち痩せた様な気がして、心が痛んだ。

茶化して誤魔化そうとしても分かる。
強がったふりしてもこいつはすぐに態度に出る。
顔色が悪いのは、卒論の忙しさのせいだけじゃないのが見て取れた。

「お前、ちゃんと食ってんのか?」
頭を撫でると、辛そうに顔をしかめた。
「弘樹?」

潤んだ瞳から、水滴が零れ落ちたその瞬間

「すみません」

とっさに大きな手がそれを隠し包む。

「ヒロさんは俺がもらいます」

「!?」

突然現れた半裸の男が弘樹を抱き寄せて
意志の強そうな漆黒の目でこっち睨み付けると
「野分!?」
そう叫ぶ弘樹を奪い取る様に扉の向こうへと消えて行った。

一瞬何が目の前で起こったのか分からず混乱していると
扉越しに、弘樹の声が遠のいていくのが聞こえる。

ついさっきまで柔らかい髪を撫でていた右手をボーゼンと見つめた。

何が起こったのか理解できなくて......

あれが誰なのか
弘樹の何なのか
ただただ混乱するばかりで。


ハッキリしているのは


弘樹をあいつに取られた、
という事。


まるで嵐が過ぎ去った後の様な静けさが漂う中
一人ぽつんとアパートの廊下に残される。

目の前の扉は閉ざされたままで
開く気配は一切無かった。

 

 

 

4.


翌日、校門を潜る弘樹の姿を見つけた。

昨日より顔色が良いのは
あいつとうまくいった....という事か。

こっちに気付いた弘樹がとっさに姿を隠す。
「弘樹!」
名前を叫び、呼び止めた。
「逃げるな、こら」
あからさまに自分を避けようとした弘樹の態度にムッとして、歩調を早める。
「幼なじみにその態度は冷たいな。
昨日はせっかく心配して様子見に行ったのに、追い返されるし」
「それは俺のせいじゃ...」
「何?」
「いや...あの...」

言い訳をしようと、ごもる弘樹は急に顔を真っ赤に染めた。
昨夜の、あいつとあったあれこれを、思い出しているのかもしれない。

俺も昨日の事を思い出して.....溜め息を付いた。

「誰だよ、あれ。もらいます、ってどういう意味なんだ?」

問いつめると弘樹はますます顔を赤くして
「あのさ、教授に論文の事で質問があって今急いでるんだ。じゃあなっ」
そう、言い終わらないうちに一目散に逃げ出した。

「おい、弘樹!」


論文だなんて、見え透いた嘘、付きやがって.....


昨日も『大小説家てんてーと遊んでいる暇無い』のに
野分とやらとは会う時間があったらしいし。

一体何年一緒にいると思ってるんだ。
お前の嘘なんて、お見通しだ。




『失った』

その事実が胸をえぐる。




「書けない」

精神的にやばくなってきて休筆宣言しようと思った。
一人になってペンを取ると.....失望感と、思い出に包囲される。

未だにあの時の記憶は真新しく、脳裏から消えない。

いつもあいつが一番の読者だった。
そして俺の初めての読者で
小説家になれと言ってくれたのもあいつで.....

「じゃぁ、気分転換に、ライトノベル系の仕事とかどう?
ペンネーム使ってもいいし、好きなの書いていいわよ?」

リハビリとして書けば良いと言ってくれた担当に
やるだけはやってみると了解する。

......このもやもやした物を文にすれば、少しは楽になるのだろうか?
行き場の無い思いと欲望がはけ口を必要としている。

つらい時は、いつも小説を書いてきた。
不幸で、悲しい境遇の主人公も、最後には幸せになる話を。
いつか自分にも幸せが訪れると信じて。

希望を失わない様に。




いつかきっと

あいつみたいに
ありのままの俺を受け入れてくれる
安心してその側で眠りにつける
そんな存在を見付けて.....

出会えたら
素直に気持ちを伝えたい

大切に守りたい

今度こそ、手放さない様に。  

 

 

 

5.

担当編集者との打ち合わせの帰り道
駅の改札口に佇む弘樹の姿を見つけた。

大学を卒業してからというものめっきり会う機会が減ってしまった。
その上家には恋人がしょっちゅう居座り付き、
以前の様に「避難」しに行く事もできず
あいかわらず学業に熱心なあいつとは滅多に会えない。

久々に見るその顔に
懐かしい様な、恋しい様な
複雑な感情が胸に込み上げてきた。

....幼い頃は、それこそ毎日会っていた。
家族よりもあいつと一緒に過ごした時間の方がよっぽど多い。

嬉しくて、自然と笑みが浮かんだ。

声をかけようとする。
「ひろ......」
けれど急に浮かんだその表情に思わず言葉を飲み込んだ。

嬉しそうに頬を赤らめた
弘樹の視線の先には

背の高いあの男......

俺の目の前で弘樹を奪い去った例の恋人が走り寄って来るのが見えた。

弘樹の顔はいつものしかめっ面に変わったが
そのわざとらしいぶっきらぼうな態度にも
恋人との再会を喜んでいるのが見て取れた。



なんとなく、寂しくなって.....

沸き上がる感情に
その存在が自分にとってどれだけ重要だったのかを
改めて思い知らされる。

友情、親友への執着、恋愛感情
そういう言葉では表現できない、複雑な物。
あいつは俺にとって初めての理解者であり
唯一側に居て安心できる、特別な存在で.....

あの優しさが嬉しかった。
不器用なあいつを、守ってやりたかった。

大切に、壊さない様守り続けた関係を
欲望に負けて崩してしまったのは自分自身。

あの時身体を繋げていなかったら、あの関係は壊れずにいたのだろうか?

「自業自得」

そんな言葉が頭をよぎり、言い聞かせる様に口に出した。




早く、次の本の続きを書こう。
久しぶりに弘樹を呼び出してやる。

悩んでる、とか
意見を聞きたい、とか
そう言ったらきっと来てくれる。

あいつにとっての「一番」の座は奪われたが、
「幼なじみ」というポジションだけは一生、誰にも奪えない。



『悩み事とかあったら、俺に言うんだぞ』

遠い昔にもらったあの約束を思い出す。

『どんな時だって俺はお前の見方だからな!それだけ覚えとけ!!』



今でも覚えてるよ。
なぁ、あれはまだ有効なのか?

 

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コメント:

月の輪様、
4000ヒットリク、遅くなりましたが完成です。

「秋>弘」前提で純情シリーズ読みなおしてみると
色々萌えポイントがアップして楽しかったです♪
予想以上にはまってしまい、気が付いたら5ページ...^^;

特殊系、しかも贈呈品でこの長さは...と心配しつつも
メールで「削る部分ない」と言って下さったので
カットせずそのままアップしちゃいました。

「台風にさらわれて(秋彦視点)」
美味しいリクエストどうも ありがとうございましたm(_ _)m

 2/2/08


猫目石様

月の輪のトンデモナイ妄想リクエストにも係わらず、

素晴らしい大作を書いて&美麗イラストを描いて頂き、

本当に有難うございました。

 

作品の素晴らしさもさることながら、なんといっても、同志、猫目石様が、

秋ヒロ視点に萌えて書いて下さった、と言うことが嬉しくてたまりません!

月の輪は幸せものでございます。

 

こちらのお部屋にお迎えするのが遅くなりましたが、

ヒロさんをもらいます宣言したのが、秋深い季節だったので、

ススキのお部屋にお招き致しました。

 

これからも、萌えポイントのお近い同志、

どうか仲良くしてやって下さいませね?

 

17/2/08

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