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月の輪 様

  お誕生日オメデトウゴザイマスv



キスは

相手の顔が近くて

 

その近い顔にある目に

自分のすべてを

見透かされてしまう

 

そんな気がして

少し、苦手だ

 

 

 

野分は、相変わらず

通い猫のように

部屋に来る

 

 

変わったこと

それは

軽く触れる程度だけど

キスをしてくるようになった

 

 

キスは

嫌いじゃないけど

 

「……ん」

 

苦手、だ……

 

でも、その後の

嬉しそうなその顔に

くすぐったいような

そんな感じがする。

 

「ヒロさん?」

 

「な、なんでもねぇよ。ほら、見せてみろ」

 

出されたテキストに

赤ペンで丸をつけていく。

 

あいかわらず

丸ばかりで、

やっぱり少しムカツク。

 

***

 

野分の唇、か。

 

そっと自らの唇に

指で触れて

その感触を思い出す。

 

「……ろきっ!」

 

「わっ!秋彦!!なんだよ」

 

「悪いが、今日、古書店めぐり付き合えないか?」

 

「あ……わるい。今日はちょっと」

 

月曜日。

野分の花屋のバイトの日。

それから……

7回目、だから。

 

「そうか。じゃぁ、また今度」

 

「あぁ。悪い」

 

野分に、会える日だから。

 

そう思う自分に

少しだけびっくりする。

 

秋彦と古書店。

この2つに勝てるものなど

いないと思ってたのに。

 

唇に触れて

また思い出す。

あの、感触。

 

今は、この感触と

この感触をくれる野分が

一番、で……。

 

今日は、

その感触を

もらう日で……。

 

花屋の喫茶店で

バイトが終わる時間まで

野分をただ見つめて、待つ。

 

バイト終了まで

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2分ぐらいになって

喫茶店から出て

花屋へ向かう。

 

予備準備として

古書を抱えて。

 

「ヒロさん!古書店の帰りですか?」

 

嬉しそうに笑って

駆け寄ってくる。

 

「お、おぉ。今日ここのバイトの日だっけ?」

 

いつものパターン。

 

「はい。もうあがりなんで一緒に帰っていいですか?」

 

「おお」

 

いつもの、会話をして、

俺の家に、一緒に帰る。

 

人通りが少なくなった道で

 

「ヒロさん」

 

「ん?」

 

名前を呼ばれて

野分を見上げれば

 

手が、頬に触れて

そっと軽く唇が触れる。

 

「ばっ!こんなとこでっ!!」

 

慌てて突き放す。

 

「スミマセン」

 

でも、その感触が

嬉しくて……

 

「ヒロさん」

 

「なんだよっ!」

 

「……」

 

ぐいっとひっぱられて

走られる。

 

「野分っ!?こら、なんだよっ!!」

 

意味もわからなく

家までそのまま

ひっぱられて

家に入った途端

キスされた。

 

「ん、は……ぁ」

 

それは、

触れるだけじゃなくて

濃厚な、キス。

 

「……のわ、き」

 

崩れ落ちそうになる身体を

やすやすと支える

力強い、手。

 

「ベッドにいきましょうか」

 

「///」

 

それは、あきらかに

今から抱くと

そう、宣言されたようなもので……

 

「ダメ、ですか?」

 

捨てられた犬のような

そんな目が

近くにあって

じっと見つめられて

 

「……っ」

 

「ダメ、ですか?」

 

再度、質問されて

小さく首を振る。

 

「じゃぁ」

 

ベッドまで連れていかれて

優しく押し倒されて

 

「……ん」

 

キス、されて……

 

「好きです。ヒロさん」

 

触られるたびに

はねる身体。

 

「ぁ……あぁっ!」

 

簡単にあがる声。

 

「っ!」

 

好きなやつ以外に

触らせない。

 

そう昔、言った。

 

だから、

今、こいつに触らせるのは

やっぱり……

コイツが好きだからで……

 

好き……

 

「あぁ!!」

 

そう意識した途端、

野分の触れる場所

そのすべてが

感じてしまう。

 

自分で触れてもなんでもないのに

 

「んっ!」

 

「ヒロさん」

 

野分に触れられる。

ただそれだけで……

 

もう……

 

「のわ、きっ!」

 

与えられる快感(幸せ)を

しがみつくように

抱きしめて

 

「ヒロさん」

 

また、キスされる

 

なんだか

全部、見透かしてるような

そんな黒い、瞳に

自分が、映る。

 

やっぱり

キスはニガテだ

そう、思いながら

 

ただ、ひたすら、

行為に、溺れていく。

 

「好きです、ヒロさん」

 

優しいキスに、

溺れて、いく……。

 




  

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End

 

・・コメント・・


月の輪様。少し早いですが。
お誕生日、おめでとうございます^^

なんとなく、KISSをはじめに全面に出していたので、
一眠り後、思い立って追加しました。
そうだよ。キスだよ。キス、と(笑)

ここんところ連日でこの件で、連絡して申し訳ないですm(_ _)m
ほかのSSは、きっとどこかで顔を出します(笑)

2008.2.11 りぃ。


りぃ。様、

 

去年の月の輪の誕生日に、

偶然、りぃ。様に、

純エゴでの初執筆と言うSSを

プレゼントして頂いて始まった、

りぃ。様とのご縁。

 

今年もこんな素敵なプレゼントを

頂いてしまって

月の輪は本当に幸せモノです。

 

連日、チャットで下読みさせて貰え、

ヒロさん気分まで味わせて頂き、

感無量です!

 

またもや挿絵代わりのクマ画像、

かってにご一緒させて頂き、

コラボ気分もご馳走様です!

 

2008.2.18

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