*まりこ様よりの素敵な頂き物*

 

 

瞳に写る小さな

 

 

 

さっきから、過去がまとわりついて離れない。

 

 

人生どん底期の記憶。







秋彦がいなくなったベッドの中に手を入れてみる。
暖かい。
その暖かさが切なくて、苦しくて。
自分がみじめで。

涙が一粒ぽろりとこぼれた。
うずくまったまま、動けなくなった。

カッコ悪いぞ。
しっかりしろ。

人は誰もひとりだ。そうだ。
俺は、ひとりで生きる覚悟のないガキじゃない。

なのに、なんだよ。
このザマは。

寂しいだの、つらいの、じゃねぇ。
断じてそんな気持ちじゃない。
ただ・・・寒い。

震えているのは寒いから。

泣いたりするはずない。
こんな。こんな事で。


自分の情けなさにうんざりして、秋彦の気配の残る部屋の鍵を閉め、街に出る。


そんな日には、誰かが声を掛けてくる。
そして俺は、その誘いを拒まない。

情けない自分より、バカやってる自分の方が少しましだから。



俺は決して、軽くみられるタイプじゃない。
でもあの日々、気がつけばいつも、見知らぬ男が俺の横にいて、そっと肩に手をのせてきた。

腰を抱かれても、俺が抗わないのを知っていた。
猛禽の目をした、男達。

鱗がありそうな冷たい手で触れられ、肌の下の血が燃えてていく。
熱い血のざわめきは寒さを忘れさせてくれる。







何故、今更こんなこと思い出す?

痕跡も残らない、くだらない時間の記憶。


誰を裏切ったわけでもなく、誰を傷つけたわけでもなく・・・。

鈍い後悔はあっても本気で悔やんだ事などなかったのに。


詫びなくてはいけないような咎ではないはず・・・ 

 

 詫びる?  誰に?



ああ、俺は、詫びてほしいのか?あのころの自分に?

バカやって、自分を痛めつけて、痛みで痛みを隠していた事を?

悲鳴をあげることさえ許さなかった事を?

 

 

 

 

 

俺はプライドが高い。

そんなこと認められるわけがない。

けれど、心はこんなに情けなく「想い」に翻弄される。


本当は、傷ついていた。

想っても、かなわない事に。

叶わないのに忘れられない事に。

忘れられないのに、他の男の腕の中にいる事に。


許してくれ。あの頃の愚かな弱い俺を。

今になってやっと認める事ができる。 だから。




許せるか?



「好きなやつにしか触らせない」そう誓った自分に免じて。

唯一人の人を、こんなにもこんなにも、愛している自分に免じて。

この、命を賭けても惜しくない恋に免じて。







ささやいている。小さな声。

大丈夫、許してあげる。
それ以上自分を責めなくていいんだよ。


それは、あの黒い瞳に映った、小さな俺がささやく声。


ありがとう。

 

  

 

* * * * * * 

 

まりこ様!

素晴らしい作品を頂いて、超感激しております!

 

まりこさんの心の中でじっくりと熟成し、大切に育まれた言葉たち。

 

作品の韻やリズムの美しさが素晴らしく、

声に出して読みたい日本語… というか、

 

脳内で、低く囁く、イトケンさんボイスで再生されました!

(*@(∀)@*)q)) くわっ

 

イヤ〜、日本語って美しいなあ〜♪ (*^(¬)^*)b (書く人が書けばw) 

 

こんな素敵な作品を独り占めしておくことなんて、

勿体無くて、とても出来ませんよw

宝物部屋での公開を許可して頂いて、有難うございます。

 

月の輪は幸せものでございます。 

 

これからも、萌え考察が生き別れの姉妹のように

ご一緒のお仲間同士、

どうか仲良くしてやって下さいませねw

 

2009/05/16

 

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