*櫻井ぽん様より素敵な秋ヒロSSを頂きました*

いつも同盟の会議室でお世話になっております、

「桃より柿よりキミが好き」の櫻井ぽん様

素敵な秋ヒロSSを書いて下さいましたw

何と、三部作です♪

ぽん様宅で、「山○春のパン祭り」ならぬ、「秋ヒロ春のぽん祭り」が

催されていた際、期間限定で拍手お礼文として公開されていたものですが、

「月の輪堂」と「まりこのエゴ日記」のまりこ様の二人にプレゼントして頂ける、

と言う嬉しいお申し出を受け、月の輪堂でも、アップの運びとなりました!

 

 

とても美しい言葉で綴られている素敵すぎる文章ですが、

性的表現を含みますので、年齢制限付けさせて頂きますね。

 

 

18歳以上の、秋→ヒロどんと来い!な、お姉さまのみ、

 

是非是非、Let’s!スクロールw

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

壊れた針  (R-18)

 

第一部

 

白い布が目を覆う。

今側に感じられるのは、荒い息づかいと裏返る弘樹の声、

鼻につくのは吐精されたその独特のそれと混ざるように香る甘やかな匂いだけだ。

 

ぎしぎしと軋む弘樹のベッドは二人分の重さに堪えきれずに悲鳴を上げている。

交わった場所は燃えるように熱くて、これがどちらの体温なのかもわからない。

 

肌で感じる弘樹へのやり場のない想いでその名前を呼んだ。

 

「……ひろ、」

 

そう欲に滲んだ声を表に出した瞬間、

俺を受け入れている弘樹が僅かに反応したことに気がつく。

 

だめだ、呼んではいけない。絶対に、その名前だけは。

もし今声に出してしまえば全てが終わる。

俺とこいつが過ごしてきた十数年が、たったの一言で幕を下ろしてしまう。

 

『弘樹を身代わりにして、孝浩を抱いた』

 

それが今の状況の大前提であり、傷ついた俺を癒すように

目隠しで全ての視界を遮断してくれた弘樹。

 

その優しさにつけ込んだのは俺だから、

せめて最後までは今感じている想いに嘘を吐かねばならなかった。

 

「たか、ひろ……」

 

 

呟いた声が、寒くなり始めた部屋に響く。

あんなに煩かったスプリングの跳ねる音は本当に壊れてしまったかのように聞こえない。

触れあっていた肌はみるみる冷えて、俺の心をも凍えさせていく。

 

狭いベッドの上、

俺と弘樹はそこで互いの時間を止めたかのように

指先一つ動かせなくなっていた。

 

 

 

 


第1部 END 
****************

 

 

 

 

 

 

第二部


 
身代わりの逢瀬の後、しばらく呆然とベッドに座り込み頭を掻きむしる。

汗が引いた身体は冷たく、心の温度がそのまま表面に出てきたようだ。

 

ぬくもりの消えたリネンのシーツからは薫る秋彦の煙草の匂いが汗と混じって、

痛いほどの後悔の感情が心臓をわし掴みにして離そうとしない。

「…………いっ、」

ベッドから出ようと身体を起こして、そっと足をベッドの外へと下ろす。

たかだかこの程度の行動だけでも骨が軋む程に痛くて、

声に出して痛みをかみ殺した。

 

ずきりと痛む腰の奥、疲弊した身体と快感に掠れた喉。

 

さっきまでの出来事全てを身体はつぶさに覚えているのに、

フィルターに掛かったような光景しか思い出せない。
今、俺の頭の中に響いているのは、

『タカヒロ』

そう、想い人の名前を切なげに囁く秋彦の声。

肌と肌が交わえば、なにかが変わると思っていた。

『秋彦のタカヒロへの想いが少しは俺に傾くかもしれない』

『身体だけでも、これからは俺を求めてくれるかもしれない』

『情事を交わすことで、俺の心も多少諦めがつくかもしれない』

あり得もしない“IF”を持ち出して、そう考えた俺は、なんたる愚か者だろう。
結局、あいつの心にいるタカヒロは誰にも消せないし、

俺の中にいる秋彦への想いを消すことなどできる筈もなかったのに。

 

互いに傷つけあった欲深い俺達に残ったのは、

『相手に受け入れてもらえない狂おしさ』と『それでも枯れることのない恋情』だけで。

 

頭から指先まで、全身にぐっと力を入れて立ち上がり、

フラフラとよろけながらも風呂場へと歩き出す。


ツゥ…と内股を伝って流れ落ちる秋彦に注がれた白濁は、

今まで必死に耐えてきた感情の暴発の残骸。

零れて頬を伝う涙は長かったこの恋の終焉のサイン。

 

痛みを伴った身体よりも痛いのは、

どうしたって叶う筈のなかった『好き』を無理矢理抉り取られた心だった。

 

 


 


第2部 END
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第三部

 

 

あれから数日。
重い身体とあまりに切なすぎる記憶を思い出させる部屋に居るのが嫌で、

ここ最近は眠る為だけに家へと帰る生活を送っている。

 

午前で授業が終わった今日も近所の公園のベンチに座りこんであの日のことを考えていた。

あれから、ずっと考えている。

もしあれが、秋彦との行為が、『犯してはいけない過ち』だったとしたら、

 

俺は何に懺悔をすればいいのだろう。

 

何に救いを求めればいいのだろう。

 

答えなんてあってないような物で、

ただただ秋彦への罪悪感だけが胸を占めていく。

助けてほしい、誰かに。
吹き飛ばしてほしい、この感情を。

そう思っても、想い人以外に身体を触らせることなんてもう二度としたくはなくて。

(空……眩しい、)

穏やかに雲を泳がせる秋の空はどこまでも高い。

真っ青なそれはとても綺麗な筈なのに、今の俺には色あせてしか見えなかった。

(やべ、また……)

輝いている空は、秋彦と俺の幼少時代の秘密基地を思い出させる。

どうやら俺の涙腺のスイッチは可笑しくなっているようで、

秋彦との微笑ましい些細な記憶だけでも涙が浮かんできてしまう。

初恋は叶わないモノ。

俺の恋だって例外じゃなかっただけだ。

込み上げてくる涙は仕方ないけれど、せめて誰かに見られないようにと下を向く。
こんな姿を誰かに見られるなんて、俺のプライドが許さない。
 
遠くからは人々の楽しげな喧騒。頬を掠めるのは涼やかな風。
 
『ヒューっ』

「わっちゃん、そっちに行ったぞー!」


風の音にしてはあまりにもリアルな音が耳を通り抜ける。

それは、

『どんっ!』

「うわぁっ!!!!」


新しい恋が落下する、音。

『バサバサっ』

「すみませ…っ」
「………っ」

抜け出せなかった初恋の最後。

抜け出せなかった深みから掬い上げ、俺を捕らわれたのは、台風のような、

「初めまして、俺……」
 
俺の生涯をいっぺんに変える、一生の恋。


 

 


END
****************

 

2009/05/16

 

 

 

ぽん様、素敵な萌え供給を有難うございます!

会議室での月の輪の妄言にお付き合い下さり、「目隠し」での行為に、

愛しさで身を焼かれる程の二人の想い、すれ違い、

そして、野分との運命の出会いまでを

素敵な三部作にして頂き、本当に嬉しいです。

 

お初というのにあまりにも素晴らしい、秋ヒロスキ-のツボと言うツボを

突きまくりな展開と素晴らしい文章に、悶絶し捲くりですw

 ∪(*。(A)。*)∪〜†

 

こんなクマ畜生ですが、これからも宜しくです♪

 

 

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