いつもお世話になっております「桃より柿より君が好き」の

櫻井ぽん様より激萌えSSを頂きました。

皆様に見て頂きたい、とってもとっても素敵な作品ですが、

ちょっぴり大人向表現を含みますので、

お子様はご覧にならないで下さいませね。

それでは、スクロールして、どうぞvV

 

 

 

 

 

 

 

真珠の言い訳

 

「も、野分…」

 

彼が喘ぐように俺を呼ぶから、鷲掴まれた心臓がまた止まりかけて。

白く綺麗な肌の上を、真珠の涙が静かに伝う。

 

****************

 

白いリネンに身を沈めたヒロさんは、未だに荒い呼吸を繰り返している。

しっかりと絡めた指と指。繋がったままの、俺とヒロさんの身体。

抱きしめたままそのさらさらな髪を掻き上げて、耳元で小さく声を掛けた。

 

「…大丈夫ですか?」

 

さっき流れ落ちた涙の名残を指で拭おうと、ヒロさんの顔へと手を伸ばす。

 

「……見んなっ」

 

吐き捨てるように呟いて、ぷいとそっぽを向かれてその表情を隠されてしまった。

 

(うーん……)

 

身体を重ねた後にヒロさんが俺に顔を見せてくれないのはいつものことで。

ヒロさんの性格上恥ずかしがっている…のはわかるんだけど。

 

やっぱり、ちょっと寂しい。

 

俺に抱かれるのが嫌なんですか、とか。

俺の顔なんか見たくないんですか、とか。

 

(それともこうして抱きしめている事が気にくわないのかな…)

 

もしかして汗でべたつく身体を密着させることが、ヒロさんは嫌なのだろうか。

二人で一緒に熱を高めた後、こうして肌の温かみを直に感じるのが

俺にとってはすごく気持ちよくて。

だけど、ずっとこのままでいたいと思っているのは俺だけかも知れない。

はぁ…と音にならないため息をついて、頭の中で離れるタイミングを測る。

離れがたい体温には、心の準備も必要だ。

 

「…」

「……」

 

呼吸を落ち着かせながら、続く沈黙。

その一瞬に横を向いたままのヒロさんが小さく身じろぎしたから、それと同時に身体を起こす。

 

「…?!」

 

覆い被さるように重なっていた身体の間に空気がするりと入り込んで、

僅かにヒロさんが息を飲んだ気配がした。

 

「ヒロさん、どうかしましたか?」

「や……………別に」

「?…なら、いいんですが」

「……っ」

 

訝しげな顔色を見せるヒロさんの身体から埋め込んでいたソレを引き抜いて。

小さな衝撃を声にならない声で告げるヒロさんの中は、

ぴくりと追いすがるように俺を締め付けてくる。

その様子とは裏腹にヒロさんは気難しそうに一点を見つめているから、

俺も思わずヒロさんを凝視してしまって。

 

「…………野分、」

「?はい」

「…な……なんでもねぇよっ、ばーか!」

 

一瞬真っ赤になったかと思うと、ヒロさんはふん、と鼻を鳴らしながら

バフッと毛布を被ってしまった。

白い布が完全にヒロさんを覆って、ここから見えるのは

色素の薄い髪の毛と華奢な指先がほんの少しだけ。

その拍子にくしゃみをしたヒロさんが、寒い、と独り言のように呟く。

汗を掻いて、なおかつ裸のまま居たら寒いのは当然だ。

 

「お風呂、先に行きますか?」

「…いい」

「でも、このままじゃ身体冷えちゃいますよ?」

「いい。…つーか眠い。今日はこのまま眠る」

「あ、はい」

 

布越しに交わす会話は少しだけどもりがちで、

さてどうしようか…

と蓑虫状態のヒロさんを見つめた。

うーん……

このまま部屋を出て、自分の部屋で眠った方がいいんだろうか。

終わった後に触られるのが鬱陶しいと思われているのなら、

自分の部屋に行った方がいいんだろうけど…。

 

互いに何も言わないまま、数十秒。

目の前の景色を忘れて渦巻いた課題を解こうと必死になっていると、

ヒロさんはおずおずと身体の位置を壁側へと動かしていた。

3分の2以上空いたスペースに、ヒロさんはそっと自分の枕を置く。

 

あの、その、それって、つまり。

 

「ヒロさんっ」

「…んだよ」

「えーっと…俺、一緒に寝ても良いんですか」

 

問いかけながら、ヒロさんの様子を伺う。

さっきの沈黙と同じ位の長さの時間が経過して、ヒロさんはぼそりと呟く。

 

「………………………聞くな、ボケ」

 

聴覚をとぎすませなければ聞こえない位の声量で与えられた言葉。

そのままもう一度寒いと告げられれば、その単語ごと愛しくなってぎゅうぎゅうと抱き込んだ。

どうしよう。

可愛い、かわいい。どうしようもなくヒロさんが好きでしかたがない。

 

「ヒロさん、ヒロさんっ」

「こら、耳元で叫ぶな!」

 

指先が真っ赤になりながら、

ぐるぐるに巻かれた毛布をゆっくりとベッドに広げていく。

その中に誘い込まれるように、

俺はヒロさんが開けてくれたスペースへと身体を滑り込ませた。

 

 

END


****************

 

 

 

ぽん様、甘くて切なくて可愛くてなんて素敵な作品でしょう!

毛布にくるまれたヒロさんが真珠なんですねw

一杯の萌えを、ありがとうございました。

2009/08

 

 

 

 

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